解説:“坂道”大河ドラマ出演史 始まりは10年前の「花燃ゆ」 深川麻衣は卒業を挟んで2度

深川麻衣さん
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深川麻衣さん

 仲野太賀さん主演で2026年に放送されるNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の新キャストが、NHKドラマの公式X(@nhk_dramas)で4月8日に発表され、アイドルグループ「乃木坂46」の井上和さんが茶々、元「櫻坂46」の菅井友香さんがまつを演じえることが明らかになった。“坂道シリーズ”と呼ばれるグループから“次世代エース”と目される人気メンバー(井上さん)と、キャプテンも務めた卒業生(菅井さん)がそろっての出演とあって注目を集めている。ここでは井上さん、菅井さんの先人として“大河女優”となった坂道メンバーを紹介する。

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 ◇深川麻衣は「花燃ゆ」から6年後 和宮役で「鬼気迫る表情の演技」

 坂道シリーズの大河ドラマ出演史。その始まりは今からちょうど10年前、2015年放送の「花燃ゆ」から。

 主演の井上真央さんが、吉田松陰の妹・文に扮(ふん)した本作で、坂道シリーズの“長女”にあたる乃木坂46から人気メンバー10人が一挙に出演を果たした。その顔ぶれは生駒里奈さんや白石麻衣さん、高山一実さん、若月佑美さん、桜井玲香さん、秋元真夏さん、深川麻衣さん、西野七瀬さん、生田絵梨花さん、橋本奈々未さんで、いずれも初の大河ドラマだった。いわゆる“十福神”が、ドラマの第29回で、“女の城”とも呼ばれる長州藩の「奥」の女中を演じ、当時話題となった。

 生駒さん、白石さんら10人全員、すでにグループからは卒業。芸能界を引退した橋本さん以外はそれぞれのフィールドで活躍中だが、深川さんは6年後、再び大河ドラマに起用される。

 作品は吉沢亮さん主演で2021年に放送された「青天を衝(つ)け」。“日本資本主義の父”と称される渋沢栄一が、「緻密な計算」と「人への誠意」を武器に、近代日本のあるべき姿を追い続ける姿が描かれ、深川さんは、江戸幕府第14代将軍・徳川家茂の正室・和宮(かずのみや)を演じた。

 和宮は、孝明天皇(尾上右近さん)の妹宮。幼いころより許婚(いいなずけ)がいたにもかかわらず、幕府が目指す公武合体の象徴として、将軍・家茂との縁組みが浮上。和宮は固辞するもかなわず、泣く泣く降嫁した。しかし、家茂の誠実な人柄に触れ、次第に心を開いていく……という役どころ。

 初登場となった第9回の放送では、SNSで「まいまいが単独で大河。涙もの」「深川麻衣が大河に出るとか感無量ですねこれは」「まいまいが大河で和宮役とは…、感慨深いなぁ」「深川麻衣が大河女優になったなぁ…記念すべき回だった」「当たり前のように大河に出て和宮を演じる深川麻衣の躍進ぶりよ」といった声が上がった。

 そんな深川さんは、第20回で家茂が他界した際の和宮の失意と悲しみを体現。次期将軍就任が避けられぬことになった慶喜への憎しみが募り、「次は慶喜が苦しめばよいのです」と呪詛(じゅそ)のような言葉を吐くシーンでは、「聖母」の愛称でファンに親しまれてきた深川さんが「鬼気迫る表情の演技」を披露し、視聴者を驚かせた。

 ◇「織田信長の娘じゃ」の久保史緒里 小坂菜緒は1シーンで「許されない恋」

 「青天を衝け」の2年後、2023年放送の「どうする家康」には、同じく「乃木坂46」からの久保史緒里さんが出演。

 家康の嫡男・信康のもとに嫁いだ信長の娘・五徳という重要な役どころでの、現役アイドルのレギュラー出演は、当然のように注目を集めたが、家康の正妻・瀬名に強い口調で「私は、織田信長の娘じゃ。無礼者!」と言い返すシーン、企てに失敗し、捕らえられた大岡弥四郎を棒で一突きして黙らせるシーンなど、堂々たる“信長の娘ぶり”で、物語の盛り上がりに一役買った印象だ。

 そして、まだまだ記憶に新しい2024年放送の「光る君へ」には、日向坂46の小坂菜緒さんが、斎院の中将役で登場した。

 斎院の中将は、源為理の娘。62代・村上天皇の第十皇女である選子内親王(のぶこないしんのう)に仕える。藤原惟規の恋人で、小坂さんは役として「許されない恋」に挑戦。出番としては第35回のワンシーンのみだったが、「会いたい人にやっと会えた、惟規様との許されない恋を視聴者の皆様にも感じていただけていれば良いなと」挑んだことを後に語っている。

 「豊臣兄弟!」に出演が決まった井上さんと菅井さんは、深川さんや久保さんに続くいわゆるレギュラーキャスト。約1年後、大河ドラマという世界でどんな演技、表情を見せてくれるのだろうか……。

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