コスプレは自宅で気軽に楽しめる趣味であり、アニメやゲーム、マンガなどの人気のバロメーターとしても注目を集めている。コスプレ文化の研究家でライター兼カメラマンのソムタム田井が、イベントに取材、参加して見つけたハイレベルなコスプレーヤーをピックアップ。衣装、ウイッグ、メーク、体づくりなど、キャラクターになりきる上でのこだわりについて聞く。
本稿で紹介するのは、2024年12月29、30日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催され、約30万人が来場した「コミックマーケット105」に参加していた、「デビル メイ クライ」のトリッシュに扮(ふん)するわにさんと、「アーケイン」のヴァイに扮するユリコタイガーさん。
人気ゲームのテレビアニメ化は「ポケットモンスター」をはじめ、一つのトレンドとしてすっかり定着しているが、昨今ではNetflixなどの動画配信サービスと提携して企画・制作されるケースが増えつつある。
スタイリッシュアクションゲームとして知られる「デビル メイ クライ」も、4月3日からNetflixにて新作アニメの配信がスタートした作品で、わにさんは配信に先駆けて、同作のコスプレを披露。髪色を基準にしつつ、全身の色味を調整することにこだわったという。
「『デビル メイ クライ』は父の影響で大好きになった作品で、そのなかでもトリッシュはずっと憧れていたキャラクターです。ウイッグに合わせて、目元や生え際には明るいマスカラを使用。少量ですがホワイトカラーのボディークリームも塗り、色合いを調整しています」
キャラクターのスタイルを再現するために、衣装制作はもちろん、体づくりにも励んだ模様。
「衣装の金具部分はヤスリがけをするなど、ディティールにもこだわっていて。腕には特徴的な稲妻チャームもつけています。また、シルエットの再現を重視して、衣装サイズはとにかくタイトにして。ジムも契約して、人生初の筋トレにも挑戦しました」
イタリア出身のコスプレイヤー、ユリコタイガーさんが扮する「アーケイン」のヴァイは、eスポーツの種目にも選ばれ、世界中でプレイされている「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)」を原作とするアニメ作品のキャラクター。特徴的な武器のパワーグラブは、造形にこだわりがあるという。
「こちらのパワーグラブはイタリアの友だちに頼んで作ってもらいました。軽い素材を使い、3Dプリンターで制作してもらったものなんですけど、指の部分を自由に動かせるなどギミックが満載で、いろんなポーズを再現することができます」
特徴的な髪型やメークの再現にも注目してほしいと話す。
「今回はウイッグの造形にもこだわりました。ふたつのウイッグをカットして、左右でつなぎ合わせているんですけど、とくに“剃る”部分の再現は難しかったですね。メークはキャラの雰囲気に合わせて、かなり濃い目に仕上げています。目や鼻といった各パーツが際立つようにしてみたつもりなんですけど、いかがでしょう?」
取材・文:ソムタム田井