コスプレは自宅で気軽に楽しめる趣味であり、アニメやゲーム、マンガなどの人気のバロメーターとしても注目を集めている。コスプレ文化の研究家でライター兼カメラマンのソムタム田井が、イベントに取材、参加して見つけたハイレベルなコスプレーヤーをピックアップ。衣装、ウイッグ、メーク、体づくりなど、キャラクターになりきる上でのこだわりについて聞く。
本稿では、世界最大規模のコスプレの祭典として知られ、8月1~3日の3日間で約24万7000人ものコスプレファンが集結した「世界コスプレサミット2025(WCS、コスサミ)」に参加していた、「キングダム」の信に扮(ふん)するろまの歩さん、羌カイに扮するしゅなさん、桓騎に扮するおーやんさんを紹介する。
コスプレイベントといえば、同じ作品のキャラクターに扮したコスプレーヤー同士で集まり、写真撮影や交流を楽しむ“併せ”ができることも、参加するうえでの醍醐味の一つ。信のコスプレで併せを満喫していたろまの歩さんは、細かい造形に加え、着脱のしやすさにもこだわって衣装を制作したという。
「衣装の制作期間は約1カ月。鎧はタイル一枚一枚に布を貼ったので手間がかかりました。また、着用時のシルエットがぴったりになるように、原作のマンガを確認しながらサイズの調整にも気をつけて。帯の下部分にスリットを入れることで、着脱のしやすさと体へのフィット感を向上させたのもこだわったポイントです」
キャラクターを象徴する武器である剣と矛も自作で用意したもので、これらに関してはサイズ感や金属っぽい光沢に注目してほしいと話す。
「背中の剣は実際に抜けるように、鞘の長さに対して少し短めに制作して。布部分に関しては端処理を工夫して、春秋戦国時代感が出るようにしました。矛は金属っぽい光沢が出るような塗装をして、そのうえで持ち運びしやすいように、4分割できるジョイント式で制作しています」
また、写真では分かりづらいが、しっかり鍛えて筋肉をつけてきた体にも自信があるという。
「ウイッグはなるべく自然な感じになるように、ワックスは使わずスプレーのみで固めていて。体も鍛えているので、胸元や二の腕など、鎧の隙間から見える筋肉にも注目してもらえるとうれしいです」
桓騎に扮するおーやんさんと羌カイに扮するしゅなさんは、普段から夫婦でコスプレを楽しんでおり、今回の「コスサミ」では「キングダム」だけでなく、「ONE PIECE」のコスプレも披露。どちらのバージョンも非常にクオリティーが高かったが、「キングダム」のコスプレにおいては、しゅなさんはメークにこだわったという。
「羌カイは作中でもトップクラスに強いキャラクターなので、女の子らしくなりすぎないようにメークは薄めにして。凛とした佇まいを意識しました」
一方のおーやんさんは、鎧の造形を見てほしいと話す。
「衣装制作が得意な友人に協力してもらい、4人がかりで鎧を制作しました。衣装やウイッグもすべて手作りで用意したものなので、愛着のある一着です」
取材・文:ソムタム田井



